歯科でいち早く骨粗鬆症(こつそしょうしょう)の兆候を発見できる可能性が
骨粗鬆症(こつそしょうしょう)
日本での骨粗鬆症患者は約1,300万人(!)と推定されているそうです。
骨折患者は年々増加していますが、現状では300万人ほどの患者しか治療はされていないとのこと。
椎体骨(頸椎・脊椎・腰椎など)の骨折がある患者には症状があると思われがちですが、椎体骨折患者の約2/3は無症状であり病院を受診しないことが分かっています。
一回骨折が起これば次なる骨折が起こるリスクは高くなり、骨折後の患者の5年生存率は多くの悪性腫瘍のそれよりも悪く、また、骨折後のリハビリ等の骨折関連医療費は2兆円を超えると試算されているとのことです。
ここで、歯科が骨粗鬆症にどの様に関わって行けるのかをご説明します。
歯科医院に受診される成人患者の多くはパノラマX線写真(顔の下半分くらいの範囲=上下の顎と歯、顎関節、上顎洞、頚椎の一部、眼窩の一部くらいまでが撮影できるX線写真)を撮影します。
このパノラマX線写真では歯だけではなく、歯槽骨や顎骨なども写りますので、私達歯科医師はそちらも細かに観察していろいろな情報を得ています。
その中で、下顎骨の下縁には皮質骨の断面像が白い層となって写っているのですが、健全な骨質である場合には、その白さは強く、骨粗鬆症の疑い(傾向)がある患者さんの場合には黒く抜けた様に白さが弱く(場合によっては白い層が見えない場合も)なっているのです。
これは、下記の図(私の拙い絵で分かりにくくてスミマセン💦)の様に、皮質骨の中を通る栄養管の周りの骨が溶けて栄養管が太くなった状態(骨がスカスカになった状態)なのです。
2型に見える場合は、まだ「骨粗鬆症に発展する可能性あり。経過観察?」という段階ですが、3型になっている場合には「骨粗鬆症であると考えてほぼ間違いない。治療の必要性についてすぐにでも整形外科などに受診すべき状態」と言えましょう。
当院では、女性が受診されてパノラマX線写真を撮影した場合には、骨粗鬆症の疑いについても見逃さない様に気をつけています。
2型の場合には、一応、「将来的に骨粗鬆症に気をつけて、何かのついで?でもあれば、整形外科か婦人科などで相談してみると良いですよ。」と、説明させていただいています。
3型の場合には、「骨粗鬆症の可能性が非常に高いと考えられるので、DEXA検査(DEXA 法検査とは、Dual Energy X-ray Absorptiometry の略で、2種の異なるエックス線を照射して、骨と軟部組織の吸収率の差で骨密度を測定する方法という意味です。被ばく量は極めて少なく、迅速かつ精度の高い測定ができ、骨密度測定の標準とされています。痛い検査ではありませんのでそこはご安心を。)が出来るところで是非診てもらってください。」とお話させていただいています(ご本人の希望があれば相模原協同病院整形外科にも紹介しています)。
先日も当医院で2型?3型初期?という患者様に状態をお話してDEXA検査を受けに行っていただいたところ、無症状ながらかなり骨粗鬆症が進行していたことが分かったこともありました(この方は大事に至ることなく投薬治療を開始した様です。)。
骨粗鬆症は中年以降の女性に多い疾患です。
中年以降の女性は歯科受診されパノラマX線写真を撮影されたときにはこういったことも歯科医師に聞いてみると良いと思います。
正しい知識を持って、恐れすぎることなく、気をつけることには気をつけて、いつまでも健やかに過ごしたいものですね💛