院長コラム
歯と認知症
いよいよ年の瀬ですね。
今日は、歯周疾患と認知症の関連(の一部)について書いてみたいと思います。
全ての認知症が歯周疾患によって引き起こされているとは言えま
せんが、認知症が引き起こされる大きな原因について考えてみると
歯周疾患もリスクとして深く関わっている可能性が高いことが伺わ
れるのです。
認知症にはいろいろなタイプが見られますが、その多くは
脳血管性のものと、
アルツハイマー型のもの、
で占められている様です。
脳血管性認知症の原因は大部分が脳卒中。脳卒中は、動脈硬化
が脳の血管でおこるものですから、予防には動脈硬化を防ぐこと
が大切になってきます。
歯周病菌が動脈硬化を促進しますので、歯周病を防いで動脈
硬化のリスクを減らすことが、脳血管性の認知症のリスクを
減らすことになります。
アルツハイマー型認知症は、脳に萎縮が見られるのが特徴です。
CT(コンピュータ断層撮影)画像検査での調査で、残って
いる歯が少ない人ほど脳の萎縮が進んでいたという報告があります。
更に、アルツハイマー型認知症の人の方が、健康な人より
残っている歯が少なかったという報告もあります。
また、先日も書きましたが、噛むことの大切さもわかってきて
います。噛むことで刺激が歯根膜から脳へ伝わり、アセチルコリン
(学習能力に深く関わる伝達物質)を増やすというものです。
この伝達物質の量が減るとアルツハイマー型認知症を引きおこす
原因になると考えられています。
歯周病を予防して、自分の歯を保ち、よく咀嚼して(噛んで)食
事を摂ることは、アルツハイマー型認知症を防ぐためにも大切だと
言えるでしょう。
皆さま 良い年をお迎えください。